肝臓から十二指腸までの胆汁の通り道を総称して胆道といい、肝内胆管、肝外胆管、胆嚢、乳頭部に分けられます。胆道癌は、胆道にできる癌の総称で、発生した部位によって、胆管癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌に分類されます。
胆管癌の危険因子には胆管拡張型の膵・胆管合流異常、原発性硬化性胆管炎があげられます。胆嚢癌の危険因子には膵・胆管合流異常があげられます。十二指腸乳頭部癌では、エビデンスのある危険因子はありません。
胆道癌を疑う臨床症状は、黄疸、右上腹部痛、体重減少等があります。胆管癌では黄疸が約90%と最も多いです。胆嚢癌では右上腹部痛、黄疸、悪心嘔吐、体重減少などがあります。検診の腹部超音波検査で、無症状で偶然発見される症例も存在します。十二指腸乳頭部癌は黄疸が最も多いです。
胆道癌診断のファーストステップとしては、血液検査と腹部超音波検査が必須となります。血液検査では、肝胆道系酵素上昇を確認します。腫瘍マーカーは、CA19-9が69%で上昇し診断の一助となります。腹部超音波検査は、胆管癌では、肝内胆管拡張、肝外胆管拡張、胆管壁肥厚、胆嚢癌では、胆嚢壁肥厚、胆嚢腫瘤が描出されます。十二指腸乳頭部癌は胆管拡張を指摘されることが多いですが、乳頭部癌は描出困難な事が多いです。
セカンドステップとして、ダイナミックCTやMRI検査を行います。
CTやMRIでは、病変の局在診断や進展度診断に有用です。胆管狭窄や黄疸がある場合は診断と治療を兼ねて、内視鏡的胆管造影検査や胆道ドレナージ術を行います。
胆道癌の治療は、手術、化学療法が中心となります。根治治療は外科的手術になります。周囲の血管や臓器への広がりが高度な場合やその他の臓器に転移して外科的手術が困難な場合や、術後の再発の際には化学療法を行います。