食道静脈瘤とは、食道の静脈がこぶ状にぼこぼこと膨れ上がり、太くなってくる病気です。万が一、静脈瘤が破裂すると、大出血などをきたす極めて危険な病気です。
食道静脈瘤という名前ですが、実は肝臓の病気が原因で発症してきます。肝臓へは、消化管から吸収した栄養を送り届ける門脈(もんみゃく)という血流が流れ込んでいます。これが肝硬変の状態になると門脈の圧が上がってしまいます。
そして、その圧が限界に達すると、膨れ上がった静脈瘤が破れて大出血をきたし、吐血などの症状で救急搬送されるといったケースが多いです。静脈瘤破裂の出血は非常に大量ですので、残念ながら救命できない症例も実際に存在します。
肝硬変が原因の病気ですので、肝硬変を引き起こす病気がそもそもの原因といえます。具体的には、B型肝炎、C型肝炎、アルコールに伴う肝障害などがあります。B型肝炎やC型肝炎は、今日では治療が進歩し、肝硬変に至るケースは少なくなってきています。
治療に関しては、定期的な内視鏡検査を行い、食道静脈瘤の進行度合いによっては、内視鏡的静脈瘤結紮術(Endoscopic Variceal Ligation:EVL)や内視鏡的静脈瘤硬化療法(Endoscopic Injection Sclerotherapy:EIS)などが必要になることがあります。